スウェーデンの育児休暇と就学前教育 ― 480日の制度とプリスクールの仕組み



スタッフの高橋です。近年、スウェーデンの育児制度や育児休暇についてのお問い合わせを多くいただいています。今回は、実際の経験も交えながら、スウェーデンの育児休暇制度やプリスクールの仕組みについてご紹介します。現在私には、スウェーデンで小学校のゼロ年生に通う息子がいます。
480日間の育児休暇制度
スウェーデンでは、子ども一人につき合計480日間の育児休業給付を、両親で分けて取得することができます。
このうち、
· 390日間:休業前の所得の約80%が支給(上限あり)
· 90日間:所得に関わらず、1日180クローナが支給
となっています。この制度は、主に雇用主が負担する社会保険料を財源として運営されています。
この390日のうち(土日を含めることも可能)、90日間は各親の「専用枠(クォータ制)」となっており、相手に譲渡できません。例えば父親が取得しない場合、その分の給付は失効するため、両親双方の育児参加を促す仕組みとなっています。
また、企業によっては独自に10%〜20%程度を上乗せして支給することもあり、これにより、実質的に「給与の90%」や「ほぼ満額」を受け取れる場合もあります。
残りの90日間は所得に関わらず、1日180クローナが支給されます。
子どもが4歳になる前に、480日中384日(=480−96)を使っておかないと、4歳以降は残り日数が最大96日に制限され、それ以外は消滅します。
平日のみで390日となると、ちょうど子どもが1歳半くらいです。スウェーデンでは1歳からプリスクールへ入学する権利があります。この期間を中心に育児休暇を取得し、1歳半からプリスクールへ入学させることが多いですが、育児休暇は連続して取得するだけでなく、分割したり、短時間勤務と組み合わせたりと柔軟に利用することが可能です。
我が家はまず、私が最初の3か月、夫がそのあと1年育児休暇を取得しました。そして息子が1歳半になったタイミングでプリスクールへ入学させました。

親も子どもも楽しめる無料のオープンプリスクール

プリスクールに通うまでの間、多くの親子が利用するのが「オープンプリスクール」です。日本の児童館に近い存在で、子どもとその保護者が一緒に参加できる場です。子ども同士が遊びや歌を通して交流するだけでなく、保護者同士の交流の場としても重要な役割を担っています。特に、コーヒーを飲みながら気軽に会話を楽しむ「フィーカ(Fika)」の時間が大切にされており、子育てに関する情報交換や、孤立の防止にもつながっています。
予約は不要で、気軽に立ち寄ることができるため、日常的な居場所として多くの家庭に利用されています。
オープンプリスクールは自治体が運営していますが、民間に委託することもできます。スタッフは特定の資格を有することは義務付けられていませんが、十分な教育あるいは経験が必要条件とされています。
残念ながら、コロナ渦だったこともあり、私たちは数回しかオープンプリスクールを利用できませんでしたが、プリスクールで歌う歌と同じ歌をみんなで丸くなりながら歌ったり、親同士はどこのプリスクールがいいかなどの意見交換の場になりました。
プリスクールの利用条件と料金(ストックホルム市)
スウェーデンでは、プリスクール(förskola)は単なる保育ではなく、子どもの教育と保護者の就労・就学を支える制度として位置付けられています。
そのため、「誰がどのくらいの時間利用できるか」という利用条件が明確に定められています。

表のなかで「共働き」とありますが、公共職業安定所に登録し、職業訓練プログラムに参加している場合も「共働き」に含まれます。
ストックホルムではプリスクールへの申し込みがされると3か月以内に、スウェーデンの他のコミューンは4か月以内にその児童にプリスクールを準備する義務があります。(ただし、希望のプリスクールに入れる保証ではありません。)
すべての子どもへの支援体制
サポートが必要な子も、自由にプリスクールを選ぶことができます。自治体は、その子どもに対して、個別に必要な施設の物理的な改造や、必要な補助員(リソース・パーソン)の配置、特別支援教育の専門家によるサポートを確保する責任を負います。
実際に息子が大好きだった担任の先生は看護師の資格も持っていたため、他のプリスクールに肢体が不自由な児童が入学することになり、そちらへ異動されたこともありました。以前、求人広告で、糖尿病の子どもがプリスクールに通うことになり、注射など日々のサポートをするスタッフを募集しているのを見たこともあります。
次世代の民主的な市民を育てるための国家戦略
スウェーデンのプリスクールは、単なる保育の場ではありません。その主な目的は、すべての子どもに対して、保護者の就労状況に関わらず、社会性や民主的な価値観を育む質の高い教育とケア(Educare)を提供することにあります。
これは単なる教育制度ではなく、「次世代の民主的な市民を育てるための国家戦略」として位置付けられています。
さらに教育法では、自治体に対し、1歳から12歳までの子どもに対して、保護者が就労または就学できるよう必要な範囲で、プリスクールや学童を提供する義務があると定められています。
つまりこの制度は、子どもの成長を支えるだけでなく、保護者の「働くこと」や「学ぶこと」を支える仕組みでもあるのです。
私自身も、夫が育児休暇を取得している間に語学学校に通い、その後、息子が2歳になったタイミングで職業専門大学に入学し、フルタイムで学ぶことができました。
スウェーデンでは、このように育児休暇の期間を活用してリカレント教育(学び直し)に取り組む人も多く、育児休暇はキャリアの中断ではなく、むしろ新たなスキルを身につけるための機会として前向きに捉えられているのです。
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参照元:
https://www.forsakringskassan.se/english/parents/when-the-child-is-born/parental-benefit
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