やっとスウェーデンの大臣も育児休暇を取得する時代に



育児休暇制度は1940年代に始まり、当初は母親だけが対象でした。その後、父親も取得できるようになり、男女平等の理念のもとで少しずつ制度が拡充されてきました。この過程では、女性運動が制度の発展を後押しする重要な役割を果たしました。
しかし、意外なことに、大臣や閣僚が育児休暇を取得できる制度が正式に整ったのは、2018年になってからです。平等を重視するスウェーデンであっても、旧来の制度的な構造や保守的な価値観が影響し、社会のあらゆる立場の人々に制度を適用するまでには時間がかかりました。
2018年以降、大臣は首相の承認を得たうえで育児休暇を取得できるようになりました。休暇中は事務次官や他の大臣が職務を代行します。この仕組みによって、高い政治的責任を担う立場であっても、家族との時間を確保することが可能になりました。
2018年の制度導入以来、3人の大臣が育児休暇を取得する機会を利用しました。いずれの場合も、取得した休暇は他の多くの親に比べてかなり短いものでした。これは、おそらく大臣という職務が、年間365日、24時間体制で常に対応できることが求められる任務であること、さらに任期が最長でも4年であることが影響していると考えられます。
大臣の育児休暇に対する反応は、概ね好意的でした。男女平等を重視する国において、大臣であっても育児休暇を取得できることは当然であると捉えられ、多くの人々が大臣を良い手本として評価しました。
一方、より保守的な論者からは、「大臣の仕事は他の仕事とは異なる」という意見が出されています。有権者から非常に大きな責任を委ねられており、必要なときには対応することが求められます。特に、現在の不安定な国際情勢を考えると、育児休暇を取得するのは適切ではないという主張です。
進歩的な意見を持つ人々は、メディアが初めて育児休暇を取得した男性大臣について過剰に報道したことを批判しています。スウェーデンでは父親が育児休暇を取得することが一般的な慣習であるため、男性大臣が育児休暇を取得したことが大きなニュースになるべきではない、という立場です。
以下に、これまで育児休暇を取得した3人の大臣の例を示します。
アマンダ・リンド氏(緑の党)は2019〜2021年まで文化・民主担当大臣として勤務しました。2019年に子どもを出産した際、初めて新しい大臣向け育児休暇制度を利用し、一部の期間を休暇として取得しました。その間、事務次官が一部の業務を代行しました。この制度利用は、スウェーデンの政治指導者でも育児休暇を取得できることを示す重要な一歩となりました。
ペーター・クルクレン – 地方開発大臣、初の男性大臣の育児休暇

ペーター・クルクレン氏(キリスト教民主党)は、2025年2月に初めて男性大臣として正式に育児休暇を取得しました。約5週間の休暇は、子どもの誕生に合わせて取得され、首相の承認を受けました。彼はこの休暇を、男女平等のためというよりも、子どもと過ごす時間を確保するために利用したと述べています。(SVTニュース)
クルクレン氏が男性大臣初の育児休暇を取ったことについての街のパパのインタビュー(YouTube)

「私は少なくとも3か月は育児休暇をしたほうがいいと思います。それより短いと育児という貴重な経験を本当にはできないと思います。私は6か月取得して、長すぎるかなと思っていましたが、実際にはもう一か月は欲しいなと思いました。」
ロミナ・ポウルモクタリ – 気候・環境担当大臣、育児休暇予定
ロミナ・ポウルモクタリ氏(リベラル党)は第一子を妊娠しており、春に育児休暇を取得する予定です。休暇は約3月初旬から夏初旬までの12週間で、その間、労働市場担当大臣ヨハン・ブリッツ氏が業務を代行します。この制度により、ポウルモクタリ氏は子どもとの最初の大切な時間を過ごしながら、閣僚職も空白にすることなく継続できます。(アフトンブラッド)
基本情報:
スウェーデンの大臣が育児休暇を取得できる制度に関する事実
スウェーデンでは2018年以降、閣僚やその他の大臣も一般の親と同じように育児休暇を取得できる新しい規則があります。ただし、政府の業務に合わせた調整が行われます。
• 首相の承認:大臣は予定している休暇について首相に通知し、承認を受ける必要があります。これは政府内の業務分担を調整するためです。
• 休暇中の代行者:休暇中は、事務次官や他の大臣が一時的に職務を引き継ぐことができますが、法的には大臣本人がポートフォリオの責任を保持します。
• 期間と柔軟性:休暇は通常の育児休暇と同じ給付を受けられますが、大臣は政府業務への影響を最小限にするため、数週間から数か月程度の短期間で計画することが多いです。
• 目的:この規則により、大臣は最高の政治責任と家庭生活を両立させることができ、政治における男女平等と現代的な業務分担を示すものとなっています。
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