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スウェーデンに学ぶ男女平等(ジェンダー平等)──ガラスの天井を超える制度と文化の秘訣

「制度があるのに使えない」壁をどう超える?スウェーデンが実現した、制度と“空気”が噛み合う男女平等(ジェンダー平等)の仕組みとは。
6/14/2025

女性が昇進しようとしたときにぶつかる“見えない壁”を「ガラスの天井」といいます。本人の努力とは無関係に、どこか社会の深いところで立ちはだかる障壁です。

この“壁”をデータで可視化したのが、イギリスの経済誌 The Economist が毎年発表している「ガラスの天井指数(Glass Ceiling Index)」です。2025年、このランキングでスウェーデンが第1位に選ばれました。これは単なる数字の勝負ではなく、「どれだけ制度が整い、そしてそれが“実際に使われているか”」を示すものです。

 

1990年代:「制度はあるのに、活用されない」という壁

スウェーデンでは1974年に育児休業制度が男女共通で導入されましたが、当初は男性の育休取得はごくわずかでした。どれだけ制度があっても、それを「使っていい」という空気がなければ、現実は変わらない。そんな中で1995年、スウェーデンは「パパクオータ制度」を導入しました。これは、育休の一部を父親のために“取り置き”し、使わなければその分が失効するという仕組み。単なる制度の整備ではなく、「取らなきゃ損」という行動を促す構造ができたのです。

 同じ頃、政府は「女性管理職30%以上」という目標を打ち出し、「やる気があれば誰でも出世できる」といった幻想を手放しました。結果として、育児や家庭の役割分担に関する社会の意識が、少しずつ揺れ動き始めます。つまり、制度と意識改革がセットで進んだ時代でした。

2000年代以降:社会全体で“登れる構造”をつくる

2000年代以降、スウェーデンでは制度と文化をつなぐ「構造のデザイン」がさらに進みました。

企業には、男女別の育休取得率、管理職の男女比、賃金格差(lönekartläggning)などを年次で報告する義務があり、これらをもとに「平等計画(Likabehandlingsplan)」を作成する必要があります。

たとえば、「男性の育休取得率が0%です」と報告した場合、「では来年は何%に?」「そのためにどんな行動を?」と改善策の具体化が求められます。計画には数値目標だけでなく、研修や評価制度の見直しといったプロセスまで含まれるのが一般的です。

 

また、スウェーデンでは企業が公共機関と契約する際に、「男女平等(ジェンダー平等)に向けた取り組みが行われていること」が入札条件になることもあります。

これはつまり、平等への取り組みが“信頼”や“ビジネスチャンス”に直結するということ。単なる「良いこと」ではなく、「やることで企業にとっても得になる」構造が整っているのです。

 

民間企業に対しても、平等を推進する取り組みには補助金や税制優遇といったインセンティブが用意されており、「やらなければ損、やれば得」という動機づけが多方面に仕込まれています。

 

「空気」が変われば、制度は生きる。

 

こうした取り組みが積み重なった結果、スウェーデンでは「女性管理職が当たり前」の風景が生まれました。

もちろん、一朝一夕にできたことではありません。制度を整えるだけでは文化は変わりません。逆に、文化だけを変えようとしても限界があります。

 

スウェーデンが成功した理由は、「制度と文化の噛み合わせ」を丁寧に設計してきたことにあります。

ガラスの天井の正体は、“制度”ではなく“空気”かもしれません。

 

制度は、整えれば終わりではありません。本当に大切なのは、それが日常の中で「自然に使われているかどうか」。スウェーデンでは、「誰もがこの制度を使っていい」という空気、つまり社会的合意が広がっており、それが人々の行動を後押ししています。

  

最後に

「女性が優秀じゃない」のではありません。スタートラインそのものが平等でなかっただけです。 スウェーデンの取り組みから見えてくるのは、「構造を変えれば、空気が変わる。そして空気が変われば、制度が生きる。」という循環です。

 

現地で「制度と空気の噛み合わせ」を体感してみませんか?スウェーデンでは、実際に制度がどう運用され、どんな空気の中で使われているのか。 企業・自治体・教育現場を訪問することで、その全体像を肌で感じることができます。ぜひ、その空気感をスウェーデンで体感してみませんか?ご興味おありの方は資料請求のジェンダー平等プログラムから。

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