スウェーデン福祉 現地視察プログラム 2026レポート



5月4日〜6日にかけて、SQCによる3日間の福祉視察プログラムをストックホルムで実施しました。5月のストックホルムは自然が美しく花開く季節であり、この時期に日本からのお客様をお迎えできたことを大変嬉しく思います。
今回のプログラムでは、保育、 高齢者福祉、障がい者福祉に関する視察を行いました。質問や意見交換をじっくり行い、各施設とも非常に近い距離で交流することができました。
保育分野:自然保育と学びの可視化
スウェーデンでも初期に設立された「森の幼稚園(屋外保育園)」を訪問しました。園長からは、自然環境を活かした教育方針について説明を受けました。
私たちは子どもたちと一緒に森へ行き、鬼ごっこをする機会もありました。子どもたちは訪問をとても喜んでくれ、自分たちのできることをたくさん見せてくれました。木登りをしたり、岩場の滑り台で遊んだり、ナイフで木を削ったり、自然の中で絵を描いたりしていました。
また、一般の保育園も訪問しました。特に印象的だったのは、園が独自に作成したキャラクターです。これらのキャラクターは、カリキュラムの各分野を象徴するもので、各教室に掲示されていました。これにより、子どもたちは「今の活動がどの学習目標につながっているか」を自然に理解できる仕組みが整えられています。
さらに、国連「子どもの権利条約」に関する教育も日常的に行われており、遊びや対話を通じて理解を深める工夫が印象的でした。

障がい者福祉:本人主体の暮らしと社会参加を支える仕組み
重度重複障がいのある方々のグループホームを訪問しました。
特に印象的だったのは、一人ひとりのニーズに応じて生活環境や支援方法を継続的に調整している点です。また、代替コミュニケーションや自己決定の尊重が制度として徹底されていました。
個人的に特に印象に残ったのは、知的障がいと視覚障がいのある方のお部屋を見学したことです。その部屋では、床の異なる場所にさまざまな種類のマットが敷かれており、本人が足の感覚によって自分のいる場所を把握し、自立して移動できるよう工夫されていました。
また、障がいのある方々のための「日中活動施設(Day Activity Center)」の訪問では、利用者の方々と直接交流できたことが非常に貴重な経験となりました。スタッフの方からは、一人ひとりに合わせた個別支援計画について説明を受けました。
中程度の知的障がいのある方々の活動も見学し、市役所で花の水やりやペットボトル回収などの作業を行っている様子を見ることができました。
また、日中活動施設で作られた作品は年に数回、市役所のエントランスで販売されており、その際には利用者自身が販売を担当しているとのことでした。
高齢者福祉:生活の質(QOL)を中心にしたケア
認知症の方々向けのデイサービス施設を訪問しました。
約20名の利用者に対し6名のスタッフが支援を行い、日々の活動が丁寧に組み立てられていました。
食事は単なる栄養摂取ではなく、非常に重要な活動の一つとして位置づけられていました。ほかにも散歩、音楽、カードゲーム、椅子に座って行う体操などが行われていました。
さらに認知症グループホームでは、家族対応・チームケア・症状管理・コミュニケーションが体系的に整理されており、すべての支援が生活の質(QOL)の向上を中心に設計されている点が特徴的でした。
参加者の懇親会:学びのアウトプット
最終日にはスタッフ宅でスウェーデンの家庭料理を囲みながら、参加者それぞれが今回の学びと今後の実践について語り合いました。

以下は参加者の皆さまから寄せられた声です。―――――――
「一つのジャンルではなくいろんな所を見学できたことが良かった。」
「訪問先の方々は、どんな質問にも丁寧に答えてくださりました。通訳の際には、エーミルさんが適宜情報の補足をしてくださり、また移動中にも、エーミルさんはこちらの様々な質問に丁寧に答えてくださりました。気軽に質問しやすく、非常にありがたかったです。本人の自己決定・ウェルビーイングを尊重したケアや、スタッフの労働環境を守るシステムが当然のように存在しており、非常に印象的でした。ケアを必要とする方々との向き合い方を考える上での必要な視点を、新たに得ることができたと感じています。」
「地下鉄やバスなど公共交通機関を利用し、実際に街を歩きながら各施設を訪問できたことが非常に印象的でした。最寄り駅やバス停から徒歩圏内に、高齢者施設や障害者支援施設、プリスクールなどが自然に存在していることに驚きました。日本では、福祉施設が郊外や不便な場所にあることも少なくないため、「地域の中で暮らす」という感覚を実際に体感できたことは大変貴重でした。」
「利用者側・施設側ともに、「困ったことがあれば市に相談する」という信頼感が根付いていることも印象的でした。施設側に過度な自己責任や現場努力を求めるのではなく、市が予算や制度面でバックアップしていることで、現場の専門職が目の前の支援に集中できているように感じました。」
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食事中の会話の中で、こんな印象的な声もありました。
「スウェーデンだけが良いということではなく、日本にも良いところがたくさんある。両方を知れた今、これから自分自身でどう考え、どう選び取っていくかが大事だと感じた。」
この言葉は、今回の視察の本質をよく表しているように感じられました。単なる制度比較ではなく、「異なる福祉のあり方を知った上で、自分の視点を持つこと」そのものが大きな学びの一つかもしれませんね。
最後に、参加者の皆様から温かいお言葉をいただけたことを、大変嬉しく思っています。視察先でも移動中でも、皆様が本当にたくさん質問してくださったことが印象に残っています。福祉や支援について真剣に考え、学ぼうとされる姿に、私自身も多くの気づきと刺激をいただきました。少しでも今回の視察が、皆様の日々の実践のお役に立てていたなら嬉しく思います。
それぞれ異なる分野でご活躍されている皆様の、今後ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
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